根津美術館の「燕子花図屏風展」を激オシする3つの理由

  • Posted on: 2013年4月28日
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本日の行った

展覧会名 国宝燕子花図屏風展
会場 根津美術館
開催期間 2013/4/20(Sat)-5/19(Sun)
展示作家 尾形光琳酒井抱一鈴木其一尾形乾山、他
主催 根津美術館

オススメの美術館は?

なまがつおは美術史を専攻していたので、よく質問されます。
こうしたときは、決まってまず根津美術館を紹介します。

特に5月頃なら間違いなく行ってほしい美術館です。
毎年、国宝の燕子花図屏風が公開されると同時に、庭園のカキツバタが満開となるからです。
華麗なコンボ技とはまさにこのことです。

日本的美意識がアクロバティックに表現されている屏風を見る。
その余韻からの、日本庭園に咲きほこるカキツバタの群生を見る。
都会の中心で、「芸術」と「自然」を絶妙な導線でみることができるとは、なんて素晴らしんだとなまがつおは思います。

根津美術館

根津美術館は、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。(公式サイトより引用)

1940年の開館から、今に続く歴史ある美術館。
石仏、茶道具、中国の青銅器といった、個性豊かなコレクションを保持していますが、中でも注目は、琳派の絵画コレクションです。

毎年庭園のカキツバタが美しく咲き誇る季節にあわせて、燕子花図屏風を公開しています。
なまがつおが本美術館の本展覧会を激推しする理由を下記に掘り下げます。

燕子花図屏風の秀逸さ

尾形光琳《燕子花図屏風 右隻》、18世紀前半、根津美術館、東京

尾形光琳《燕子花図屏風 右隻》、18世紀前半、根津美術館、東京

何度も語られているので、敢えて繰り返すのは野暮ったいですが、なまがつお的にもこの屏風はとても素晴らしいと思います。
金地に、青と緑だけで、カキツバタの群生を表現しています。
余計な細部描写や陰影など一切なく、なんとも潔い絵です。
それでも幼稚な絵と見えないのは、間をセンスよくとる卓越したデザインスキルがあるからでしょう。

尾形光琳はもともと呉服屋を営んでいる家の出であったため、写実的な描写よりも、装飾やプロダクトデザインの方面にルーツが有るのも納得できます。
シンプルな色のカタチが、絶妙な間をとって置かれることで、完成された全体図となる傑作です。
ほんと、何度見て飽きないし、今に通じる共時的なデザインセンスも感じさせます。

都心とは思えない庭園の自然に心洗われる

根津美術館の庭(2013/4/27)

根津美術館の庭(2013/4/27)

企画展示を見終わったら、必ず庭園に向かいます。
出た途端、「え、ジブリ?」とつぶやいてしまうくらい、豊かな緑。
都会派セレブの闊歩する表参道駅から徒歩5分とは思えない、α波の止めどなくあふれる空間が広がっております。
敷地としてもかなり広く、都会の喧騒をふぁっと忘れてしまうには十分です。

実際に歩き出すと視界の見通しは悪く、行先の見えなさに少し緊張します。
鬱蒼とした林に迷い込んだ気持ちになりつつ、細い石畳の小道を進みます。
石仏などを脇目に進みます。
窪地に向かってどんどんおりていくと、唐突に茶室があったりします。

根津美術館庭園のカキツバタ。まだ満開ではない。2013/4/27

根津美術館庭園のカキツバタ。まだ満開ではない。 (2013/4/27)

水のせせらぎの音が聞こえてきたなと思ったら、水辺に咲くカキツバタの群生が遠目に見えます。

自然と芸術を、相乗的に深く愉しめる

木々に遮られなず降り注ぐ太陽の光がカキツバタを明るく映えさせます。
刃物のような鋭利な形状の葉に、鮮やかな紫の花。
晴れの日の太陽の中でみると、まさしく光琳の屏風さながらです。

自然の花があるから、画家は絵として描きます。
花が先で、絵が後なのは自明です。
しかし、人の描いた絵画イメージがまさしく現実の自然に顕現するのはとても感動的です。
人工物としてのアートと、自然の関係性は妙なものです。

そんなことを考えながらぶらぶら歩くのは、都会の企業戦士なまがつおにとって良いひとときとなりました。

まとめ

なまがつおが根津美術館の燕子花図屏風展を激オシする3つの理由は以下です。

  • 燕子花図屏風の秀逸さ
  • 都心とは思えない庭園の自然に心洗われる
  • 自然と芸術を、相乗的に深く愉しめる

美術館に行く理由は様々あると思います。
恋人とのデートコースに…
感性を刺激しに…
仕事などの煩わしい喧騒を離れるために…
考えうる目的に対して、必ず満足させられることができる、とても素敵な美術館だとなまがつおは考えます。

最後に、尾形光琳も意識したであろう、平安の天才イケメンである在原業平の歌を紹介して、このエントリを締めたいと思います。

ら衣
つつなれにし
ましあれば
るばる来ぬる
びをしぞ思ふ

唐衣を繰り返し着てよれよれになってしまった「褄(つま)」、そんな風に長年つれ添って親しく思う「妻」があるので、その衣を永らく張っては着てまた張っては着るように、はるばる遠く来てしまったこの旅をしみじみと思うことだ。(『古今和歌集』〈新日本古典文学大系5〉新井栄蔵ほか校注 岩波書店)

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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