脳が「美しい」と感じる課程とは?

  • Posted on: 2013年3月18日
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本日の一冊

著者は認知神経科学、感性心理学の専門家。
人が美術を鑑賞する際に脳がどのような反応を取るかを、科学的な方法論でひも解きます。

アートと脳の関係を探る多様な実験とその結果を紹介していますが、その中で、なまがつおが興味を持った所をメモ書き的に紹介します。
なまがつおが興味を持った部分というのは、アートやデザインを志す人々にとって「かなりイケてる情報じゃん!?」と思う部分です。(なまがつおはアートを制作はしませんが、アーティストまたはアーティスト志望の皆様を応援しています。)

アートの好みや評価に対する方程式

アートの好み = 個人的な好み(後天的要因) + ヒトに共通する好み(先天的要因)

好き・嫌いは、人それぞれに後天的につくられる趣向があります。
また、それに対してヒトが先天的に持っている趣向もあります。
前者も後者も、本書にて心理学的、脳科学的、統計的に証明されようとしています。
その2種類の趣向によって、アートに対する好き嫌いや評価が形成されると言います。
後天的要因と先天的要因により、好みは決まる。
納得感があります。

個人的な好み 後天的要因

個別の趣向を形成する要因には以下のようなものがあるそうです。

いっぱい見たことがある(単純接触効果)

テレビコマーシャルやラジオから流れる音楽のように、特定の感覚情報に繰り返し何度も接触することで、刺激への親しみやすさ(親近性)が高まり、好意が増すことが知られているこの効果を「単純接触効果」という。(73ページ)

毎日毎朝、繰り返し同じ女子アナを見たらたぶん好きになると思います。
ぼくの一日は「おはよう日本」をみて始まるのですが、NHKの鈴木アナを日に日に好きになっていきました。
至極当然で、納得感があります。

過去の選択を好きになる(認知的不協和)

自分の行動と結果と自分の意図や好みが一致していないときに、意図の解釈や好みを後づけ的に変化させることで、変えることのできない行動の結果に整合性を持たせようとする「認知的不協和」という考え方もある。行動の結果は変えられないのだから、行動の意図や好みの方を変えてしまってつじつまを合わせようとする人間の真理を説明している。つまり私達の行動の意味は、結果次第で容易に変わってしまうということだ。(73ページ)

ぼくは日々、「鈴木アナは最高だ!」と主張するればするだけ、どんどん好きになって行きました。
やはり、納得感があります。

ヒトに共通する好み 先天的要因

固有の趣向の形成のされることはわかりました。
それでは、どんな人にも共通に評価を高めるアートの要素はあるのでしょうか。
仮説の域は出ませんが、下記の仮説に則って制作をしてみると、評価が高まる可能性が上がります。

ボインにする(ピークシフト仮説)

反応すべき特徴が誇張され強大化されたものへと好みを示す動物行動の例を参考に、ラマチャンドランは「ピークシフト仮説」を提案し、それをアートの普遍的な法則の一つだとした。(214ページ)

動物は、有益な情報だとわかると、その情報がより顕著に現れている方に寄っていきます。
バストの大きいお姉さんしかり、なにかのパラメータが大きく触れている場合、ヒトはそこに着目します。
ロン・ミュエックの作品などはその良い例でしょう。彼の作品では、大きさというパラメータを効果的にいじることによって、鑑賞者に圧倒的な印象を残します。

わかる⇔わからないの中間(中庸)

また、ヒトは単純すぎる情報や刺激には快を感じないが、複雑すぎるものには不快を感じ、その中間に快感を最大にする覚醒の変化させるゾーン(覚醒ポテンシャルという)が存在するというのが知られている。この考え方は、心理学者のバーラインによって示されたものだが、単純さ/複雑さだけに限らず、新しさ/馴染み深さなどの多くの刺激の特徴についても当てはまるとされている。それらの特徴が「ほどほど」である、つまり中庸なときに、快は最大化されるというわけだ。(228ページ)

中庸、すなわちバランスの良さは人間が「快」を示す要因です。
黄金比など、外見的に均整がとれている作品。
内容が簡単すぎでもなく、難しすぎるでもない作品。
既知の部分と新しい発見が入り混じっている作品。
ヒトが慣れ親しんでいる部分もあり、それでいて斬新な作品。
このような作品に対して人間の「快」は最大化するといいます。
先ほどの「ボインにするんだ説」と矛盾しそうですが、要はパラメータをうまくいじるということでしょう。

以上は、やや概念的な話であり、「じゃあこれをどう作品に活かせばいいんだよ!」とツッコミが入りそうです。
そこは明確な答えは出ていませんが、示唆に富む言及は多いのではないでしょうか。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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