「天才」ってうらやましくない件

  • Posted on: 2013年2月23日
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本日の見た

公開 1999年6月20日
監督 マーティン・バーク
上映時間 97分
主演 ノア・ワイリー(Noah Wyle)、アンソニー・マイケル・ホール(Anthony Michael Hall)

Windowsの隆盛の只中にある1999年公開の映画。Appleの創業者スティーブ・ジョブズとMicrosoft社の創業者ビル・ゲイツの、シリコンバレーでの若き日の「戦い」がメインテーマとして描かれています。この映画はあくまでフィクションの立て付けですが、かなりのリアリティがあり、ウォルター・アイザックソンの評伝『スティーブ・ジョブズ』などを読んだ後でも納得感がありました。というのも二人の、決してクールとはいえないずる賢い面や、泥臭い面などをよく描き出しているからです。
本エントリでは、この映画のレビューも兼ね、二人のような「天才」になりたいか?という問いに焦点をあてたいと思います。

性格破綻者

この映画では、時代を創った「天才」の二人が、

  • スティーブ・ジョブズ → マジキチ(あまりに他者への理解がないエゴイスト)
  • ビル・ゲイツ → ガチヲタ(あまりにモテなさそうな風貌と喋り方をするオタク)

みたいな描かれ方をしています。

かなりの脚色はされているだろうけれど、若かりし二人の性格の特徴をよく表していたのではなないでしょうか。
ジョブズは作中で、自らを芸術家と称し、要求に答えられない社員に怒り狂います。子供ができちゃっても彼女にはひどい仕打ち。その結果、相棒のウォズからも信頼を無くし、自ら創設したApple社をクビになってしまいます。ジョブズに比べまだ「破綻」の度合いが軽微だったようで作品の最後のシーンではジョブズを上回る成功を収めていたものの、ゲイツもコミュニケーション下手なばりばりのオタクとして描かれています。

コピーキャット

作中で、二人とも他者の技術をおもいきりパクっています。
それを「おれが発明したぜ!イノベーションだぜ!」と言って大成功を納めるという図式は二人に共通しています。二人ともパーソナルコンピュータを世界の一般の層に普及させた立役者ですが、技術を発明したわけではなく、エンドユーザまで浸透するプロダクトをつくったことで億万長者となり「天才」と呼ばれるようになったのです。

人一倍目と鼻が効かせ、他者が感じなかった価値を察知し、それを強引に自分のものにして製品として大衆化させたことが、彼らの天才性です。二人は、革新的な技術を見つけた時に、いち早くそれが革新的であることを発見し、売れる製品に昇華させた点で共通しています。

ただし、その課程は決してクレーバーな戦略によるものではなく、狡猾でずるがしこく、泥臭い。このように作品では描かれているところがおもしろいです。

激エグな失敗の経験

二人とも苦労なくして成功をしたわけではありません。

ジョブズはMacintoshで大成功を手にしたのち、クビという盛大な失敗が待ち構えています。
ゲイツは成功する以前はジョブズに完全にこけにされていました。またこの映画のラストシーンでジョブズに象徴的な勝利を収めたゲイツも、映画公開の10年後に売上や会社の時価で大きくApple社に差をつけられるのは周知の通りです。ドラマチックで作品になるにふさわしい二人です。

まとめ

以上、この映画から読み取れる二人の「天才」の描かれ方は以下です。

  • 性格破綻者
  • コピーキャット
  • エグい失敗の経験

こうまとめてみると、常人には務まらないからこその「天才」だとわかります。また彼らのような「天才」になりたいとも思えません。さらに、「幸せな天才」など存在しないように思えます。逆に「天才」になるのは、常人の枠から逸脱することと引き換えです。このような提起をしている本映画はかなりの良作なので、おすすめしたいです。

最後にこの映画の主題曲に触れます。Talking Headsの”Burning Down the House”という曲なのですが、なかなかこの映画の世界観にマッチしています。この曲をベーシストMarcus Millerがアレンジしたライブ映像を紹介して本エントリを閉めたいとおもいます。

Marcus Miller – Burning Down The House


読んでいただきありがとうございます!

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