メディア芸術祭に見る日本コンテンツの強さ3つ

  • Posted on: 2013年2月18日
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本日の行った

展覧会名 第16回文化庁メディア芸術祭
会場 国立新美術館
開催期間 2013/2/13(Wed)-2/24(Sun)
主催 文化庁メディア芸術祭実行委員会

メディア芸術祭の素敵なところは、メディア芸術の下に「アート」「エンターテイメント」「アニメーション」「マンガ」を同列に扱っているところです。しかし、年々「アート」の存在感は薄れ、「アート」以外の3部門で祭り状態になっている感が否めないのが率直な感想です。

実際「アート」ももちろん日本人として追求すべきことだと思います。実際アート部門で大賞、優勝賞、新人賞に入賞した計8作品のうち6作品は海外作家によるものです。日本の文化庁主催にして「アート」部門の75%が海外の作品というのはなんとも複雑です。確かに欧米に比べ、日本ではアートが育つには土壌が頼りないのが現実としてあります。

しかし、逆に本展覧会で際立つことは、アニメやマンガ、ゲームといったサブカルからエンタメでの日本の並々ならないコンテンツ力です。クールジャパンとかなんとかでもてはやされている部分ではありますが、アート部門とは対照的に「エンターテイメント」「アニメーション」「マンガ」の分野には、日本の強みと優位性があるのだと実感させてくれます。もちろん来る人も「エンターテイメント」「アニメーション」「マンガ」を楽しんでいるように思えます。

本投稿では、こうした状況をもう少し突っ込んで、メディア芸術祭の展示から伺える日本製コンテンツの持つ強みを3つ分析してみました。

シュールさ

ここでいうシュールさとは、「脱力系」とか「ゆるい」といった要素を含みます。技巧や技術に訴えるのではなく、手抜きとも言えるシンプルさで、独特の空気感を作り出します。例えば和田淳『グレートラビット』の作品(下の映像)。内容は意味は不明ですが、きもかわいいし、脱力しまくり、ゆるさ全開、なぜか癒されるような今の若者の感性に刺さるものが確かにあるぞ!とぼくは思います。このどこから突っ込んで良いかわからない独特なシュール感は何やら世界でも評価対象になっているみたいで、ベルリン国際映画祭短編部門で銀熊賞を受賞しています。和田淳の作品は、メディア芸術祭にも一度ならず出品されている実力派と言えるのです。この作風で!

グレートラビット ‘The Great Rabbit’ Trailer


エンターテイメント部門入賞の三木俊一郎『あさっての森』、紹介したアニメーション部門入賞の和田淳『グレートラビット』、水尻自子『布団』なんかは日本シュール界のエースです。このような感性は、フランスと日本程度で他国にはあまり見られないので、独自の方向性として戦略的に伸ばすといいのではと思います。

技巧・技術力のコンテンツへの応用力

上記の脱力さとは正反対の、技巧・技術力の高さも和製コンテンツの持つ特徴かと思います。しかもただ技術があるだけでなく、それを人間が楽しめるコンテンツに昇華できるとことろが素晴らしいです。
エンターテイメント部門入賞である、水道橋重工制作の巨大ロボット『KRATUS』は、ロボット工学、機械制御の技術をエンターテインメントに加工しています。同入賞のPlayStation Vitaのゲーム『GRAVITY DAZE』も、キャラクターの画力、3Dゲーム開発といった高度な技術力を、絶妙なバランス感覚で完成度の高いゲームコンテンツに仕上げています。

KURATASの乗り方 – 水道橋重工

和の要素

日本なんだから、「和」なんて当たり前でしょ、といわれそうですが、そのあ当たり前の和のテイストを戦略的に使うとウケるようです。実際、日本のように遺産としてクールな文化を持っているのは日本の強みであり欧米諸国が認めるところでもあります。
アニメーション部門大賞、大友克洋の『不要鎮』なんかは和っぽさを実に巧く映像化した作品だとおもいます。
大友克洋といえばAKIRAでのカオスな世界観の凝ったSFアニメーションを思い浮かべますが、この作品のTrailer映像を見た限り、良い意味で「らしからぬ」作品となっています。日本の浮世絵や屏風絵の描写を引用し、線描的な日本絵画を強く意識しています。和の伝統的世界観を今の映像に組み合わせた非常にバランスの良い映像となっています。早く全編を見たい…

COMBUSTIBLE 火要鎮 -A KATSUHIRO OTOMO FILM- SHORT PEACE PROJECT TRAILER


かつてゴッホやモネ、セザンヌもしきりに日本の絵画を評価していた浮世絵的な空間構図は、今も日本のコンテンツに応用するとこんなにも強みとして面白く映るのです。極端なことを言えばサムライやニンジャはキラーコンテンツとも言えます。メディア芸術祭では今年の入賞は無かったもののTeamLabの作品は和の要素の取り入れ方は非常にナイスです。

まとめ

残念ながら日本には価値観を疑い覆すような「アート」は少ないかもしれないけれど、喜ぶべきことに誇れるコンテンツ力を持っています。私見として、そのコンテンツ力の正体を3つにブレイクダウンすると結論づけられます。

和製コンテンツの武器3つ

  • シュールさ
  • 技巧・技術力のコンテンツへの応用力
  • 和の要素

おしまい。

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